リアルシング地方公演パンフ掲載のプロフィールスチール。当方はこれの画質劣化版であるケイブンシャ大百科スチール1枚で30年以上を乗りきると言う荒行を強制遂行した
なんと瓢箪から駒的に久保氏最後の舞台<商人>の台本拝読の機会到来。(※1)
元ネタは所謂ヴェニスの商人。悪徳ユダヤ人をとんちでやり込める勧善懲悪話であるが、そこは文学座アトリエ。そんなストレートな劇をやるはずがない。(※2)
この話は、シャイロックが実はスゴい良いやつで、社会の仕組みそのものが歪んでいると言う斬新な切り口のおとぎ話なのである。
なんせアントニオウとシャイロックはマブダチ。2人とも真面目ゆえに法を守って袂を別つ。(※3)
久保氏演じるバサーニオウに至っては、原典では前途有る人品いやしからぬ若者のはずが、どなすんねんレベルで度量の狭い若造に。(※4)
この舞台を最後に、1年間公演不参加の後、翌年師走に久保氏は演劇界の東大を去る。(※5)
※1/アーノルド・ウェスカー作。
※2/到底商業演劇では掛けられぬ演目をやるのがアトリエの基本方針。そりゃもう尖りまくりの作品目白押し。人権侵害だろうが裸だろうが果敢に挑むのである。
※3/原典では好好爺のアントニオウを陥れる意地悪シャイロックと言う構図。これがウェスカーの手にかかると、悪法も法なり、と友情との板挟みになる男二人の悲劇となった。
※4/ナチュラルにユダヤ差別するわ女性差別するわ。口も悪い。自分の嫁になる人の容姿ボロクソ。なるほど遣り甲斐のある難役ではあるが、ファンとしてはこれを花道とするにはあんまりと言えばあんまりである。
※5/くたばれヤンキースのように外部出演していたなら話は変わるが、文学座史から外部データは得られない。公演パンフか演劇情報雑誌辺りを総当たり攻撃する必要が有るが、道のりが遠すぎて眩暈がする。何か取っ掛かりが欲しいところではあるが、さて。